築120年の歴史を紡ぐ古民家再生 これからも長く紡いでいくためのハイブリット古民家へアップデート
- 古民家
つくば市
築120年 62坪 平屋造り
明治の世に建築されて以来、120年もの間大切に住み継がれてきた伝統家屋。良材がふんだんに使われた重厚な構造体は時代を経てなお、頑健かつ荘厳な佇まいを見せていました。
しかし、多くの伝統家屋は、その頑健な構造体に比して、それを支える足元(基礎)に弱点があります。現地調査の結果、建物が南側におよそ4cm程傾いていることがわかりました。そこで、建物自体を起こすジャッアップを行い、基礎をしっかりと補強しました。
また、ゾーニングでは入り口となる16帖以上もの土間をどのようにデザインするか、非常にこだわりました。お客様の第一印象を決めるエントランスホールは、古い重厚感のある柱や梁はそのままにし、それらとデザイン的にマッチするタイルを玄関正面に貼り、新旧のデザインを融合したエントランスホールに仕上がりました。
生活の中心となるLDKは、南北の和室を統合することで全体の明るさを確保した開放的な空間へと変わりました。床は床暖房を入れ、新にフローリングを貼りましたが、古民家ならではの趣きが感じられる踏み天井、差鴨居、欄間などは植物系オイルで蘇らせました。
客間として残した南の二間続きの和室には、素晴らしいデザインの欄間、書院には立派な組格子などがあり、それらはそのまま生かしたデザインになっています。このほかに、玄関からリビングへの引き戸や主寝室の大正ガラスが使われた引き戸、お手洗いの扉、手洗いカウンターの下の引き出しなどはこれまで使われてきた古い建具を再利用しました。
今回のリノベーションでは、伝統的な古民家を象徴する空間を残しつつ、現代の暮らしに合わせた間取りになりました。