施工事例

スケルトンから性能と動線、暮らしを再構築する現代マンションリノベのモデルケース

長く一人暮らしを続けてこられたお母様が、これからも安心して快適に暮らせるように。そして、ご自身も年齢を重ねる中で「ずっと暮らしやすい住まい」に整えたいというご夫婦の願い。その想いが、築30年以上のマンションを全面的に見直すフルリノベーションへとつながりました。

現地調査では、最上階ゆえの暑さや、天井高2200mmという制約、老朽化した設備や断熱不足など、いくつもの課題が見えてきました。しかし同時に、スケルトンリノベーションならではの自由度がこの住まいにはありました。

床・壁・天井をすべて撤去し、内部を一度ゼロに戻すことで、理想の間取りを再構成することが可能だと判断。プランでは、まず「これからの暮らしの動線」を丁寧に再構築しました。玄関からウォークスルークローゼット、そしてLDKへと抜ける新しい動線は、帰宅後の片付けや移動がスムーズになり、暮らしの負担を軽減します。浴室や脱衣所は、配管から設備まで一新。段差解消など、安全性にも細やかに配慮しています。

さらに、断熱改修と内窓の設置により、マンション特有の夏の暑さ・冬の冷えを大幅に改善。壁と天井の断熱、Low-E複層ガラス+内窓の組み合わせによって室温が安定し、シニア世代にとって重要なヒートショック対策としても効果的です。補助金制度も活用し、性能向上とコストの両立を実現しました。

デザインでは、ご夫婦が大切にされていた「落ち着き」と「心地よさ」を軸に素材を選定。照明計画や色使いを工夫し、マンションの制約を感じさせない、広がりのある上質な空間へと仕上げました。明るさ・風通し・素材の質感が暮らしをやさしく支え、毎日を自然と豊かにしてくれます。

設備・配管の更新まで含めた今回のフルリノベーションは、今の快適さを整えるだけでなく、将来世代が住まいを引き継ぐ際にも価値を発揮します。家族のライフステージが変化しても柔軟に対応でき、資産としての魅力も高い住まいへと再生されました。

築30年以上のマンションでも、性能・安全性・デザインのすべてを見直し、新しい暮らしの器としてよみがえらせることができる。今回のプロジェクトは、マンションリノベの可能性を示す象徴的な事例となりました。

穏やかで安心できる日々を支える住まい。ここからまた、新しい家族の時間が始まります。