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『失敗しない』移住物件購入~探す前に知っておきたいこと~

弊社はこれまで、つくば市を中心とした「住まい」を通して、多くの移住者の方々をサポートしてきました。移住のご相談では、『どういった物件を選べば良いかわからない』というご相談が多くを占めています。今回は、田舎エリアの物件探しにおいて知っておきたい「市街化調整区域」の再建築要件を中心に不動産知識を取り上げたいと思います。

1⃣ 市街化区域と市街化調整区域の違い

市街化区域とは?

市街化区域は街を活性化させるために活用される地域のこと。既に市街地である区域や、今後10年以内などに市街化が図られる区域を指します。市街化区域に位置する土地や家を購入すれば住宅を建てたり、既に建てられている住宅の場合は将来的に建て替えることができます。つまり、家を建てやすいエリアです。交通の便や周辺施設の充実など利便性は高いことが多い反面、住宅の密集度は高く土地の価格も高い傾向にあります。

市街化調整区域とは?

市街化を抑制すると区分けした区域。一部例外を除き、住宅を建てたり建て替えるなどの開発は制限されます。建物を建てるときはもちろんのこと、建て替えや中古住宅を購入して、増改築・リノベーションをする場合にも、基本的に自治体に開発許可を受けなくてはなりません。購入を検討する場合は注意が必要です。ただし、特定の条件を満たすのであれば、市街化調整区域であっても開発を許可できるとも規定しています(=再建築要件)。市街化区域とは逆で都市の利便性は受けにくいものの、田舎暮らしや里山の良さを感じられ、土地の価格も安いといえます。

2⃣ 市街化調整区域の再建築要件が必要な理由

市街化調整区域の物件を買う時、「再建築要件」が一番重要と言えます。再建築要件がないと原則、住宅ローンを組むことができません。市街化調整区域は開発が抑制されているため不動産としての価値が低くなるとされているからです。但し、次述のような再建築要件があれば、金融機関としてもしっかりと担保評価してくれます。万が一、将来物件を売らなければならなくなってしまっても、再建築要件があれば安心と言えます。

3⃣ 3つの主な再建築要件

1)線引き前宅地

線引き前宅地とは文字通り、市街化区域と市街化調整区域の区分け(線引き)がされる前から【地目が宅地】である土地のことを指します。「線引き」の時期は各行政で定めていますが、この日が登記簿謄本で確認ができることが最低条件となります。例えばつくば市の場合、昭和48年(1973年)12月28日より前から宅地であった土地について、基準を満たして許可を得られれば、建築が可能です。(既存宅地とも言われます)※1

2)区域指定

区域指定とは、市街化調整区域であっても、あらかじめ指定された区域内の土地であれば集落出身要件等を問うことなく、どなたでも住宅を中心とした都市計画法の許可が可能となるものです。 区域指定制度は、既存宅地制度の欠点であった無秩序な建築物の立地の可能性を是正することと、昨今の住まい方の多様化に対応して、居住地を市街地だけでなく、郊外部を中心とした豊かな田園環境の下でのゆとりある居住を可能にすることを目的とします。要件はありますが、市街化調整区域で建築可能な措置の一つです。

3)旧宅造法等の開発許可を得た市街化調整区域内の既存住宅地(旧宅団地)

つくば市には、旧住宅地造成事業により造成された団地(旧宅団地)が36カ所あります。これらの団地について「旧住宅地造成事業施行地内における建築に対する指導方針」を定めており、指導方針の範囲については建築に関して新たな許可を要しません。旧住宅地造成事業施行区域内においての建築物の建築は、旧住宅地造成事業の目的に整合するほか、市街化調整区域における建築であることにかんがみ、周辺環境の保全と調和を図りつつ、快適な居住環境の確保及び良好な公共施設の維持管理が図られるものであることとすることが基本方針とされています。※1

(参考1)
【既存不適格建築物】古い家屋の中には、建ぺい率や容積率の制限をオーバーしているものがあります。1971年以降、各地で建ぺい率や容積率の都市計画決定が始まりました。建築当時は適法だったが、この指定以前に建築された建築された建物で制限をオーバーしているものが、既存不適格建築物です。この場合、建て替えや建築確認を伴うリノベーションをする際には現行の基準に合わせる必要があります。つまり、もともと大きな家が建っていたとしても、同じ規模で建て替えやリノベーションができない可能性があるということです。※2

(参考2)10年特例
市街化調整区域への立地基準の一つに「既存集落内の出身者のための自己用住宅の取扱いについて(県条例第6条第1項第3 号)」があり、「10年特例」とは、その出身者要件の一つです。「10年特例」の土地は、購入することはできても下記の要件を満たさない場合は建物の建築はできません。注意すべきは、一度購入した後に売却する場合、同様に「10年特例の条件を満たす人」にしか売却ができない、ということです。(近年ルールが改正されてきています)

土地への条件
  • 既存集落内であり、50個以上の建築物が連たんしているものであること。
  • この連たんの条件は、建築物と建築物の敷地相互間が70mメートル未満で、50戸以上の住宅が含まれているもの。
人への条件
  • 市町村の区域内の大字(おおあざ)等の区域内又は、隣接する大字等の区域に線引きの日前に本籍又は、住所を有していたもの。
  • 市町村の区域内の大字等の区域等内に10年間以上居住していた者
  • 1に該当する者の2親等以内の血族又は1親等の姻族 ※3

〈引用元 ※1 つくば市役所 都市計画課HP ※2 LIFULL HOME’S PRES ※3 茨城県庁 土木部建築指導課宅地HP〉

4⃣ 市街化調整区域を選ぶリスク

【インフラ問題】居住目的の土地でないことから、電気・水道・ガスといったインフラが整っていない場合があります。仮にインフラ整備が必要な場合、基本的に自己負担での整備が必要です。上下水道(浄化槽)や電線を整備するとなると、高額な費用になることがあるため注意が必要です。

【交通網】学校や駅、病院などの重要施設から離れるリスクがあります。バスがあっても本数が少ない、など車が必須の生活になります。

【地域の慣習】田舎の村社会には古くから続く独特の慣習があることも。新しく移住してきた人にとっては慣れない文化もありますが、地域の方とのつながりは田舎であればあるほど濃密かもしれません。柔軟な姿勢で、地域の方との関係性を築くことが大切です。

5⃣ 市街化調整区域を選ぶメリット

【ロケーション】周りにビルや大きな施設がないことで、静かで落ち着いた環境で生活することができます。加えて市街化区域に比べて土地がとても広いです。隣地との距離も取れるため、広いお庭でプライベートな時間を過ごすことができます。

【比較的安価に土地を購入できる】市街化調整区域は市街化区域に比べて土地が安くなる傾向があります。物件費用を抑えた分、リノベーションに費用をかけられるのも魅力です。

【税負担が安い】土地や建物などの不動産を所有すると、固定資産税や都市計画税が毎年課せられます。固定資産税は土地の評価額に比例するため、土地の価値が低く設定されやすい市街化調整区域では、固定資産税も市街化区域より低くなります。また、市街化調整区域では都市計画税がかかりません。毎年の税負担が軽減できるのは負担の軽減に繋がります。

最後に…

田舎エリアへの移住は近年注目されており、家庭菜園をしながら送るスローライフに憧れる方も多いです。市街地に住んでいるとあまり触れない「市街化調整区域」。購入できるかどうか、正確に判断する必要があります。これから移住を検討される方々に、移住に関わる不動産知識を知って頂ければと思います。

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