職人建築の魅力を活かし、住まいとギャラリーを両立するリノベーション
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築39年 / 49坪
伝統工法の美しさに包まれ、作品と暮らす大空間
IT企業の代表であるお施主様は、ご実家のリノベーション検討にあたり、ネット検索にて弊社が最初にヒットしたことから、お問い合わせをいただきました。ご契約後は、東京在住ということもあり、打ち合わせはオンラインを中心に進めさせていただきました。
今回の計画は、ご自身が育った和造りの実家を、週末の滞在拠点として活用しながら、書道家であるお父様が暮らしながら作品を展示する「暮らすギャラリー」という二つの役割を併せ持つ住まいとするものでした。
設計において最も重視したのは、既存の職人建築としての魅力、そして美しい伝統工法をいかに活かすかという点です。重厚な柱や梁、差鴨居など、この建物が本来持っている構造美を損なうことなく、新しい空間として成り立たせることが求められました。
内部は、玄関から続く中廊下によって左右に分断されていた空間構成を見直し、その中廊下をリビングに取り込むことで、30畳を超えるLDKを作り出しました。建具で仕切られていた和室も開放することで、その広さは最大で約40畳に及びます。
その中心にはアイランドキッチンを配置し、ダイニングを隣接させることで、食事と滞在がスムーズにつながる動線を確保しました。また、キッチン背面には収納と納戸を設け、日常的に使うものが表に出にくいようにすることで、空間全体がすっきりと見える構成としています。
一方で、空間を大きくつなげながらも、既存の天井意匠は可能な限り残しています。和室として使われていた部分の天井高さに対しては、キッチン上部のみ天井を一段下げ、間接照明を組み込むことで、空間の重心を整えました。下げ天井には、既存の広縁で使用されていた縁甲板を再加工して用いています。
また、中廊下の突き当たりには、床の間脇にあった違棚を移設し、書を展示しました。お父様の作品が自然と目に入り、思わず足を止めて見入ってしまうギャラリースペースとしています。
外観については、断熱性能と意匠の両立が課題となりました。南面は既存の外観を残すため、外側からの断熱施工を行わず、内部側で断熱層を設けています。一方、北・東・西面は外側から断熱材を施工し、金属サイディングで覆うことで性能を確保しました。天井裏には100mm以上の断熱材を敷設し、床下には50mmの断熱材を施工することで、建物全体を包み込むように断熱性能を高めています。
耐震補強についても、全体で20箇所以上の補強を行い、既存の約1.5倍以上の強度へと引き上げました。
既存の魅力を活かしながら大胆に再構成した住まいは、美しい伝統工法の力強さに加え、断熱性・気密性・耐震性といった性能面においても現代の水準を備えています。
日常の中に展示が自然と溶け込む「暮らすギャラリー」。日々の暮らしの延長にありながら、ホテルのスイートルームのような非日常の静けさと上質さを感じられる空間に仕上がりました。











