施工事例

新築をやめて実家に住む

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かすみがうら市
築100年以上 / 64坪

「実家を住み継ぐ」という新しい資産活用のかたち

いま新築住宅が坪100万円に迫り、若い世代の“新築離れ”が進む中、静かに注目されているのが「実家を住み継ぐ」という新常識。茨城には地元材の和造りの家が多く、世代交代で空き家になった母屋や広すぎて持て余す古民家も、実は長く住める“価値ある資産”。適切にリノベーションすれば、新築以上の個性と快適性を備えた唯一無二の住まいに生まれ変わります。

施主様との出会いは、メールでのお問い合わせがきっかけでした。 その後、弊社モデルハウスへの来場、さらに完成見学会への参加を通して、 「住まいを新しくすること」そのものではなく、 どんな家で、どんな時間を重ねていきたいのかという視点が少しずつ整理されていきました。

当初は、新築も視野に入れながら、住まいを検討されていた施主様。検討の舞台となったのは、以前ご家族で暮らしていた築100年以上の古民家です。

一方で、母屋ではご両親お二人での暮らしが続き、広い古民家の中で、使われない部屋が増えていく状況もありました。「新しく建てること」と「今あるこの家を活かすこと」。二つを比べるなかで、この実家を再生し、住み継いでいくという選択をされました。

敷地内には、母屋とは別に書院と呼ばれる建物があります。今回の計画では、すべてを一つにまとめるのではなく、 建物ごとに役割を持たせることを大切にしました。母屋は施主様ご家族の住まいとして全面的に再生し、書院は、以前住まわれていたご両親がこれからの時間を穏やかに過ごすための住まいへ。

古民家には、「寒い」「暗い」「使いづらい」といった課題があります。しかし同時に、長い時間をかけて育まれた素材の質感や、家そのものが持つ奥行きは、新築では得られない価値でもあります。母屋の内部は、これまでの使われ方を見直し、今の暮らしに合うよう再構成。動線を整理し、家族が自然と集まる場所と、静かに過ごすための場所とを分ける設計に。玄関や廊下、LDK、和室、広縁、寝室の天井には既存仕上げを残し、建具や框、式台といった部材も再利用しています。

現在のリノベーション技術を活かし、断熱や採光といった古民家特有の弱点を改善。構造面では、伝統構法に合わせた構造補強を約15か所実施しました。経年変化を重ねた素材や、古き良き意匠を大切にしながら、今の暮らしに求められる快適性を丁寧に重ねています。あわせて水まわりや設備も刷新し、今の暮らしに適した状態へと整えています。

懐かしさと心地よさが自然に共存し、新築にはない魅力が宿る空間に。古民家の佇まいを残したまま、現代の暮らしを支える性能水準へと引き上げました。

同じ敷地で暮らしながら、それぞれの生活を尊重し、程よい距離感を保つ。 新築に建て替えるのではなく、実家を活かすことで導き出された、ひとつの住まい方です。 この住み継ぎのかたちは、家族のかたちや暮らし方が変化するこれからの時代において、選ばれ始めている住まいの実例といえるでしょう。

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