住み継ぐ、という選択
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築40年 / 48坪
記憶と暮らしが調和するリノベーション~築40年の輸入住宅~
施主様との出会いは、2023年秋に開催した移住相談会でした。
ご相談いただいたのは、築40年の木造2×4輸入住宅。空き家となってしまった、施主様が子どもの頃に訪れた思い出が詰まった祖父母の家。30代となった施主様ご夫婦は、「建て替える」のではなく「残して住み継ぐ」という選択をされました。幼い頃に感じていた温かさを大切にしながら、家族の記憶を未来へつなぎたいという想いが込められています。
現地調査では、輸入サッシの劣化や外装の傷みが課題でしたが、構造体の状態は良好。さらに無垢材を使ったドアや床板など残せるものは多くありました。構造的な制約が多いとされる2×4住宅でも、暮らしに合わせた間取り変更が可能と判断でき、計画が大きく前に進みました。
プランでは、1階を中心に生活動線を再設計。使いづらかったキッチンを移動し、家族が回遊できる動線へと刷新。さらに、奥様のご希望だった茶室を新設し、日常の中に“静”の時間を取り入れています。
1階の25mmの無垢オークの床は剥がさずに再生。アク洗いとオイル塗装により美しい表情を取り戻し、コストを抑えながら経年変化が生む風合いを継承しました。既存建具や素材も積極的に再利用し、懐かしさと心地よさが自然に寄り添う空間へ仕上げました。
2階はカーペットからフローリングへ変更し、輸入住宅ならではの趣を残しつつ快適性を向上。断熱施工や設備更新もバランスよく施し、“活かすところは活かし、こだわるところにしっかり投資する”という施主様の想いと予算を両立。
外観は塗装により美しくよみがえり、腐食していた小屋裏ルーバーを交換。交換すべき4カ所の既存サッシは、国産メーカーの特注サッシの採用によって既存デザインとの統一感を保ち、輸入住宅らしい佇まいを整えています。
経年変化をまとった素材たちが、新しい暮らしの光を受けて再び息を吹き返す。その姿は、記憶と未来をつなぐ住まいの可能性を静かに物語ります。
温かく、安心な住まい。ここからまた、穏やかで温かい日々が始まります。
それは、大切な記憶を未来へつなぐ“住み継ぐ家”のかたちです。











